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政治

《罪深きはこの官僚》藤木 俊光(経済産業省商務・サービス審議官)

コロナ支援事業で「電通」と悪巧み

2020年5月号

「一律十万円給付」ばかりが注目された今年度補正予算案。一般会計部分の歳出は当初予算よりも八兆円余り膨らんで二十五兆六千九百億円に上った。予算の過半は給付金を担当する総務省に計上されているが、それに次ぐのが全体の四分の一を占める経済産業省だ。
 マスク製造からリモートワークなどのための、通信環境整備にいたるまで六兆五千億円近くの予算を盛り込んだ。首相補佐官の今井尚哉を中心とする「経産省内閣」ならではともいえるが、その効果や実施方法について疑問符がつけられているのが、約一兆六千八百億円を投じる「観光・運輸業、飲⾷業、イベント業等に対する⽀援」事業だ。
「Go Toキャンペーン事業」という仮称がつけられ、新型コロナウイルス感染の収束後に消費喚起事業を行う予定とされ、特に手厚いのが旅行分野。業者経由でのツアー購入者などに代金の二分の一相当額のクーポンを付与され、一人当たり最大一泊二万円までという。一方で、飲食部門では予約サイト経由での利用者に上限一千円のポイント付与、イベント関連ではチケット購入額の二割引クーポンなどにとどまり、どうみても旅行業界への配分が偏っている。{br・・・