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政治

与党反乱「給付金失政」に沈む官邸

《政界スキャン》

2020年5月号

 誰が名付けたか、
「アベ・コロナ三点セット」
 と呼ぶそうな。ぶざまな撤回に追い込まれた制限付き三十万円給付策、小学校の給食当番みたいな布製アベノマスク、安倍晋三首相が「上級国民」感覚丸出しで「自宅に居よう」と呼びかける勘違いSNS動画の三つである。
 どれも中身といきさつは、詳しく知ったところでがっかりするくらいばかばかしいが、だからこそ世論は健全に憤激した。この三点セットで安倍政権は崩壊の瀬戸際だったのだから、なるほど政治の一瞬先は闇に相違ない。
 新型コロナウイルス対策の給付金が、収入減世帯に三十万円から国民一律十万円に変わったドタバタは、平時であれば内閣が総辞職しておわびすべき大失政である。過ちに気づいて早々に改めたのとは訳が違う。全国民に対し政府が「緊急事態宣言」という名の号令一下、移動の自由も、経済活動の自由も、学ぶ権利も規制する異常生活を強いている。その苦痛、困窮、抑圧を多少なりとも補償する政策の基本設計が土台から間違っていたのだから、これが民間企業だったら社長が辞めても済まされる失態ではない。さすがに安倍首相も珍しく陳謝したもの・・・