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台湾海峡「米中衝突」の切迫

中国が軍事的緊張を高める事情

2020年5月号

 台湾の国防部(国防省)の発表によると、四月二十一日、米軍電子偵察機EP-3E一機が台湾南部海域を巡回した。これは四月八日以降、米軍の偵察機による台湾付近の海域に対する十一回目の巡回で、極めて異例の高頻度である。
 台湾当局はその都度、すばやく情報を発表している。台湾民衆に対し、台湾軍と米軍が連携して、台湾海峡の安全を守っていることをアピールするとともに、中国をけん制する狙いがある。新型コロナウイルスの感染が世界中にまん延するなか、四月になってから、台湾海峡では静かな軍事的緊張が高まっている。特に四月十日から十一日にかけて、一時は一触即発の情勢になった。
 まずは四月十日、中国空軍はH-6爆撃機、J-11戦闘機など計六機の編隊が台湾南東方面の上空で機動訓練を実施した。台湾空軍機が緊急発進し対応したほか、米空軍はすぐに、EP-3E電子偵察機を出動させ、台湾南端付近の上空で情報収集活動を実施した。
 同日夜、神奈川県横須賀市が本拠地の米第七艦隊に所属するイージス駆逐艦「バリー」が台湾海峡を通過した際、中台間の中間線を越えて、中国側の海域をしばらく航行した。これ・・・