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虚構の「医療大国」アメリカ

巨大資本寡占で病院数が「激減」

2020年5月号

 新型コロナウイルスの世界最悪の感染国・米国で、二つの「病院崩壊」が起きている。
 一つはウイルス感染患者の治療に追われる、特定の病院における医療危機だ。もう一つは、ウイルス感染の陰で経営危機に陥り、閉鎖や身売りを余儀なくされる病院危機である。
 米国では近年、地域医療に貢献してきた総合病院が次々と買収されている。地域病院の閉鎖で、今や全米の八割の自治体で、「近くに病院がなくなった」という深刻な問題が起こっている。
 米南部有数の観光都市ニューオーリンズは今春、コロナウイルスの感染爆発に見舞われた。ルイジアナ州は人口約四百六十万人。そこで、四月末までに約二万五千人の感染者、約一千四百人の死者を出したのだ。米南部の感染震源地になってしまった。
 この危機の真っただ中、中心部から車で三十分ほどのところにある、「イースト・ジェファーソン総合病院」の身売り話が最終段階を迎えていた。同病院は一九七一年開業で、四百二十床を擁する。ニューオーリンズ都市圏にあるジェファーソン郡の運営で、非営利病院として半世紀近く、地域住民の医療を支えてきた。三千人を雇用する、同・・・