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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》新型コロナ専門家会議

その提言に世界が「疑問符」

2020年4月号


 中国だけではない。世界は明らかに、油断していた。新型コロナウイルスの感染力と拡散する力を。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長がパンデミック(世界的な大流行)を宣言したのは三月十一日にもなってからだ。その間、WHOも先進各国政府も、そして日本も感染拡大を阻止する有効な措置が取れなかった。善戦したのはWHOから爪弾きにされている台湾ぐらいなのだから皮肉なものだ。
 新型コロナウイルス対策を講じる上で重要なのは科学的に合理的であることだ。非科学的な施策を強行しても上手くいかない。世界中が各国の対応を注視している中で間違った施策を取れば、メディアを通じて、すぐ世界に広まる。
 新型コロナ対策は日進月歩だ。発生から三カ月で約二千報の論文が発表されている。最新情報をフォローし、適切な対応を取らなければならない。
 対策を講じる上で重要なのは専門家の声を政策に反映させることだ。日本でこの任を担うのが、内閣官房に設置された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下、専門家会議)だ。十二人の有識者で構成され、座長は脇田隆字・国立感染症研究所(感染研)所・・・