三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《地方金融の研究》北國銀行

「前代未聞」着服事件にみる行風

2020年4月号

「一年単位で顧客と契約して定額課金する『サブスクリプション』のコンサルティングに力を入れたい。依頼企業の経営計画をつくって終わりではなく、進捗の確認やテコ入れ策も一緒に考える。経営課題へのサポートも長期的に提供することで顧客とウィンウィンの関係を築くことが重要だ」
 日本経済新聞朝刊に「全員でコンサル営業を推進する」と熱く語る安宅建樹頭取のこんなインタビュー記事が掲載されたのは今年二月十七日のこと。二〇一八年四月から始まった三カ年の中期経営計画を昨年秋に修正し、二四年三月までの六カ年計画に策定し直した北國銀行。その狙いや修正計画での重点施策などを問う内容だった。
「前代未聞」(地元金融筋)とされる不祥事が表沙汰となったのはそれからわずか四日後だ。前田純一専務らが同二十一日、金沢市内の本店で緊急会見を開き、福井支店(福井市)に勤務していた当時二十六歳の男性行員が、福井県内の取引先四社に融資した資金など約三億六千六百万円を着服していたことを明らかにしたのだ。
 この不正流用額は、地元機械メーカーの破綻処理を巡り信用保証協会に圧力をかけて八千万円を代位弁済させた・・・