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政治

五輪と安倍退陣「W延期」

長引く「コロナ政局」の筋書き

2020年4月号


 政権が国家の夢でなく、権力に群がる取り巻きの願望を語り始めると、末期症状だ。それは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、今年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック競技大会の「一年程度」の延期が決まる過程で露見した。なぜなら、延期の核心は選手を第一とする「アスリート・ファースト」であるべきなのに、総理大臣・安倍晋三の側近らが夢想したのは、延期を奇貨として、安倍を自由民主党総裁としての連続四期目に突入させることだったからだ。
 三月初旬、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委)会長を務める元総理大臣・森喜朗と会った自民党の閣僚経験者は、「東京大会の二年延期で、安倍四選というのはどうか」と尋ねられ、面食らった。安倍四選が持論の森とはいえ、東京大会の延期と引き替えにするという発想が、あまりにも意外だったからだ。予定通りの開催を誰よりも待ち望んでいたのは、体調不安を抱える森だったのではないか。
 この閣僚経験者は、感染症の影響で五輪開催の見通しが厳しく、森が投げやりになっているのではないかと疑った。だが、同じような理屈の安・・・