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WORLD

中東国家「連鎖破綻」の現実味

原油暴落とコロナの大津波

2020年4月号

 東京オリンピックがどうなるかをハラハラと見守っていたのが、中東のアラブ首長国連邦(UAE)である。同国の国際金融都市ドバイでは、今年十月に国際博覧会「エキスポ 2020」が開幕予定だからだ。「脱石油依存」を掲げ、観光業や航空業に活路を見出してきたUAEは、新型コロナウイルス大流行と原油価格暴落という、二つの大津波に見舞われた。
 ダブルパンチを浴びるのは、サウジアラビア以下の湾岸産油国も同様だ。各国は緊急に国家予算の大幅再編を迫られている。産油国の支援に頼る他のアラブ諸国では、レバノンの債務不履行に続く、国家破産の連鎖も懸念されている。

ドバイ万博は一瞬で「お荷物」に

 ドバイ万博は「世界最大のショー」と銘打ち、半年間で二千五百万人の来場者を見込んでいた。ドバイの人口(約三百万人)のざっと八倍を呼び込もうというのだ。世界一高い「ブルジュ・ハリファ」や屋内スキー場など、突飛な人工建造物で世界を驚かせた国ならではの、未来志向万博を目指した。
 博覧会の総裁には、ドバイの名族出身で、高名な才色・・・