アパレル業界は「総崩れ」の様相
「倒産・身売り」再編は不可避に
2020年4月号
「新型コロナウイルス問題が深刻化するより前に、実は業界全体に危機が迫っていた。今後、問題は悪化する一方だろう」
アパレル業界紙のベテラン記者はこう漏らす。ユニクロを展開するファーストリテイリングが過去最高益を発表したのは昨秋、十月のことだった。わずか半年ほど前のことだが、当時はアパレル業界全体が楽観ムードに包まれていた。それはファストファッションだけでなく、オンワードやワールドといった古くから業界を牽引してきた企業でも同様だったのだが、記録的な暖冬の影響で坂道を転げ落ちるように状況は悪化した。コロナ問題が直撃する今後は、さらなる事業リストラやブランド見直しに留まらず、業界内部での再編さえ視野に入り始めている。
中国市場の深刻な影響
まず業界に激震が走ったのは、オンワード・ホールディングスが発表した二〇二〇年二月期決算の大幅下方修正だった。当初同社は営業利益五十五億円、純利益五十五億円を見込んでいたが、それぞれ十二億円と損失二百四十億円に変更した。特に事業の整理などによる特別損失が響き一気に業績を・・・
アパレル業界紙のベテラン記者はこう漏らす。ユニクロを展開するファーストリテイリングが過去最高益を発表したのは昨秋、十月のことだった。わずか半年ほど前のことだが、当時はアパレル業界全体が楽観ムードに包まれていた。それはファストファッションだけでなく、オンワードやワールドといった古くから業界を牽引してきた企業でも同様だったのだが、記録的な暖冬の影響で坂道を転げ落ちるように状況は悪化した。コロナ問題が直撃する今後は、さらなる事業リストラやブランド見直しに留まらず、業界内部での再編さえ視野に入り始めている。
中国市場の深刻な影響
まず業界に激震が走ったのは、オンワード・ホールディングスが発表した二〇二〇年二月期決算の大幅下方修正だった。当初同社は営業利益五十五億円、純利益五十五億円を見込んでいたが、それぞれ十二億円と損失二百四十億円に変更した。特に事業の整理などによる特別損失が響き一気に業績を・・・