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仏独「核兵器共有」構想が浮上

米国の「同盟軽視」に募る危機感

2020年4月号

 核兵器保有国のフランスが、隣国ドイツと「核兵器を共有する」構想を打ち出した。巨額の核兵器維持費を分担してもらう一方で、国際舞台では「ヨーロッパ共通の核抑止力」として打ち出し、ロシアをけん制するというもの。ドイツでは早くも、中道保守の政治家や知識層から「一考に値する」「核議論を始める時が来た」と賛同の声が上がっている。

「仏の核の傘」をEUに拡大へ

 フランスの核兵器と言えば、日本では悪名が高い。一九九五年から九六年にかけて、南太平洋の仏領ポリネシアで、地下核実験を六回にわたって強行したからだ。
 世界中で抗議運動が起こり、当時のジャック・シラク大統領は、「必要なデータを得るのが目的だ。これが最後の核実験だ」と弁明に追われた。ワインなどフランス製品のボイコット運動が起こった。
 最初の核実験成功は一九六〇年。米国、ソ連、英国に次いで四番目の核保有国になった。トリオンファン級原子力潜水艦に搭載した、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が主力である。搭載型などと合わせて、現在の核弾頭数は三百とさ・・・