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経済

経産省「中小企業支援事業」の暗部

「企業再生のプロ」に重大疑惑発覚

2020年3月号

 中小企業基盤整備機構―。経済産業省の外局である中小企業庁が所管する独立行政法人で、設立趣旨をこう掲げる。
「地域の自治体や支援機関、国内外の他の政府系機関と連携しながら中小企業の成長をサポートしています」(中小機構HP)
 この組織で今、その趣旨に反して、困窮する中小企業の情報を悪用し、利得行為を働いた疑いが浮上した。モラルハザードともいうべき状態が放置され、自浄作用も働かないというから、ことは深刻だ。
 疑惑の震源地は、中小機構に設置されている「中小企業再生支援全国本部(以下、全国本部)」だ。これは全国四十七都道府県に置かれている中小企業再生支援協議会(以下、協議会)の活動を支援する目的で、二〇〇七年に発足した比較的新しい組織である。
 少し複雑だが、各都道府県の協議会は、中小企業庁の施策だが、実際の運営は外部に委託する形だ。多くの都道府県では商工会議所や県の公益財団法人などがこの業務を受託して協議会を運営している。これに対して全国本部は、前述した通り「支援」を目的として設置されたが、各地の協議会が独立して運営されている以上、明確な権限などは・・・