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政治

菅義偉「検察人事介入」の勝算と代償

《政界スキャン》

2020年3月号

「政権の忠犬」は、本当に検察トップの検事総長に成り上がるのか。政府が一月末、検察のナンバー2、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を、任期切れ一週間前に「駆け込み」で閣議決定した問題は混迷が続いている。
 国会で野党から「過去の法解釈に照らし違法手続きではないか」と追及されるや、森雅子法相は「検察官といえども一般の国家公務員と同じ」と強弁。安倍晋三首相も「解釈を変えた」と開き直った。旧解釈で答弁した人事院給与局長は答弁を撤回したが、今度は決裁文書の偽造を疑われる。もはやつじつま合わせにもなっていない。前代未聞の奇策が、いかに「泥縄」だったかを露呈するお粗末な展開となった。
 黒川氏は法務省官房長・事務次官を連続七年余り務める間、安倍政権の閣僚や財務官僚が起こした不祥事の数々を事実上「もみ消し」てきたのではないかとの悪評で名高い。検察内部の人事方針では本来なるはずのなかった事務次官にも、菅義偉官房長官と杉田和博官房副長官が実権を握る内閣人事局の指示で就任。二度まで在任延長を重ねた「前歴」を持つだけに法曹関係者の間で、総長昇進の可能性が危惧されてきた。
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