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WORLD

米国で常態化する 「パラノイア政治」

「憎悪の館」ホワイトハウスの内実

2020年3月号

 今年十一月に再選を目指すドナルド・トランプ米大統領が、ホワイトハウスで恐怖の粛清政治を進めている。
 無罪評決に終わった弾劾裁判へのリベンジ(復讐)で、自分に対する忠誠心のみを基準に、キャリア官僚を次々と追放している。首都ワシントンでは、極端な被害妄想に基づく「パラノイア政治」との指摘も上がっており、与党・共和党には困惑が広がっている。
 米連邦捜査局(FBI)と言えば、世界最強の刑事捜査機関として知られる。そんな組織を「自分の敵」と見なして、公然と敵対する大統領は、後にも先にもこの人しかいないだろう。
 二月の遊説で、トランプ大統領は、「我が国には『汚職警官』がたくさんいる。特にひどいのはFBIだ。首脳部は『汚職警官』そのものだ」と悪しざまに批判した。
 大統領はこの後さらに、「権力乱用は目に余る」「米国は正義を求めている」とツイートした。FBIと司法省の幹部刷新を強くにじませた。

「三権分立」に挑戦する大統領

 憤怒の直接の導線となったのは、大統領の法律顧問だった・・・