武漢肺炎―。中国への「配慮」からそうは呼ばず「ＣＯＶＩＤ―19」と称する新型コロナウイルスの蔓延は、習近平政権に深刻なダメージを与えている。
　中国当局は二月二十四日、新型コロナ感染拡大を理由に、三月五日に開幕する予定だった全国人民代表大会の開催延期を発表した。これにより四月以降の政府の活動方針も予算も決まらず、習近平主席の日本訪問など外交日程も影響が出ることも必至だ。
　これまで官製メディアを通じて「感染拡大が抑えられている」「状況が好転している」などと宣伝し、工場などに生産開催を呼び掛けているにも関わらず、自身の安全などを優先にして会議の開催延期を決めたことに対し「言っていることとやっていることは違う」という批判が既に出ている。
　対応が遅れ、感染拡大を抑えられなかったことで社会が混乱し、経済低迷も深刻だ。これまで権力集中を進めてきた習近平国家主席とその周辺だが、危機管理能力の不足が露呈した形だ。同時に、失敗の責任をすべて下に押し付けようとする習氏のやり方に党内の不満が高まっている。反習勢力は党中央と本格的に距離を置き、反撃の準備を始めて・・・