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政治

安倍「任期中解散」は消えた

「岸田禅譲」も黄信号に

2020年2月号

 野党の再結集が暗礁に乗り上げ、首相安倍晋三の優位が揺るがないように映った永田町。その風景が通常国会の開幕直後に一変した。
 昨年夏の参院選で、自民党本部から参院議員河井案里と夫の前法相河井克行側に対する計一億五千万円に上る巨費の入金が発覚し、習い性の「身びいき」を露呈。 自民党内では反発の声が広がっているからだ。奇しくも、この選挙では、安倍が後継に想定する政調会長岸田文雄率いる岸田派の重鎮、元防災担当相溝手顕正が落選。逆に身内を袖にされた岸田は怒るでもなく、通り一遍の言動に終始。これでは、岸田に対する視線は党内だけでなく、世論もさらに冷めるばかりで、安倍が狙う岸田への禅譲も遠のく。
 安倍は解散カードもちらつかせながら自民党内を引き締めると同時に、野党をけん制する。しかし安倍が主導権を握っているとの受け止めは幻想に近い。四分五裂で体たらくの野党もいざ決戦となれば、「反安倍政治」で選挙協力を加速させるのは確実で、安倍政権は羅針盤なき漂流状態に陥った。

物言わぬ岸田に高まる失望感

「私も自民・・・