壊れゆく日米同盟
米軍「大撤収」で変貌する国際秩序
2020年2月号
日本と米国、欧州と米国の同盟が大きな変貌期を迎えている。ドナルド・トランプ大統領の下で、米軍が世界の紛争地帯からの撤退を進め、今年は特に、日欧がその肩代わりをすることが求められている。今世紀初頭から始まった「テロとの戦い」は、イラク、アフガニスタンやアフリカ諸国で今後、急速に閉幕に向かう見通しだ。
実戦経験が格段に少ないアジア・欧州各国が、米軍撤退の穴を埋めるのは、もとより不可能である。米国がライバル視する中国とロシアにも、とって代わるほどの国力はない。ユーラシア大陸からアフリカ大陸にかけて生じる巨大な「力の空白」は、国際政治のブラックホールとして、日欧を悩ますことになる。
「投票日までに、全部引き揚げろ」
米国による、イランの「イスラム革命防衛隊」のカセム・ソレイマニ司令官殺害で、世界の目が米=イラン関係に注がれた一月前半。これからの世界の安全保障情勢を、先触れするような事態が、あまり目立たぬ形で進んでいた。
一月五日未明のことだ。
ケニアの東海岸にあるマ・・・