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経済

JDI「延命策」の無理筋

成仏できない「日の丸ディスプレイ」

2020年2月号

 国策として誕生した「日の丸ディスプレイ」が中台連合の気まぐれに翻弄されたのも束の間、「いちご」と「りんご」の支援により延命を模索している。しかし、先行きの暗いディスプレイ屋をこれ以上生き永らえさせることにどれほど意味があるのか。内部からは不協和音が聞こえ、さながら悲鳴を上げる沈没船の様相を呈している。
 ジャパンディスプレイ(JDI)を巡る情勢は、いまだ綱渡りだ。昨年末が期限だった台湾二社、中国一社による連合ファンド「Suwaコンソーシアム」からの八百億円の資金融資は結局行われなかった。昨春時点で経営が苦境に陥っていたJDIにとって、救世主になるはずだったSuwaからの支援は画餅に終わった。官民ファンド、産業再生投資機構(INCJ)はこの間、Suwaからの支援を前提にしたつなぎ融資に応じている。その額は昨年中だけで六百億円に上り、中台ファンドに焦らされただけの結果に終わってしまった。
 国内では、「日の丸ディスプレイを中国に売り渡すのか」という批判も出ていたとはいえ、JDIの惨状を考えればこれは右方向からの底の浅い批判に過ぎなかった。

更生法申し立ては「一旦白紙」・・・