法整備なき「海自中東派遣」の危うさ
政権の「手抜き」に弄ばれる隊員の命
2020年2月号
米軍のアフガニスタン攻撃後の海上自衛隊派遣、イラク戦争後には南部サマワへの陸上自衛隊投入、その昔は国際平和協力法に基づくカンボジアの国際連合平和維持活動(PKO)参加……。振り返れば、国際的には軍隊である自衛隊の海外派遣は国論を二分するほど議論を巻き起こしてきた。しかるに、米国とイラン対立の最前線である中東海域へ安倍政権が一月に海自を送り込んだ政策判断には反論の勢いが乏しい。目的が「情報収集」と説明され、法的な論拠が防衛省設置法の「調査・研究」と、一見すると穏当に響くからだ。
アデン湾やアラビア海北部、オマーン湾で任務に就いたのは、海自の護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機二機。今回の派遣は米国主導の有志連合には参加しないものの、日本も「やっている感」を出さなければいけない強迫観念と、イランから米国の隷属と目されないようにする接点を探った苦肉の策で、活動の実態など二の次の外交判断にすぎない。そもそも海自が活動している時は、いつでも情報収集を伴う。この決定を例えれば「裏口派遣」(防衛省OB)で、確たる任務が欠落したまま、遥か遠い海域への派遣を余儀なく・・・
アデン湾やアラビア海北部、オマーン湾で任務に就いたのは、海自の護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機二機。今回の派遣は米国主導の有志連合には参加しないものの、日本も「やっている感」を出さなければいけない強迫観念と、イランから米国の隷属と目されないようにする接点を探った苦肉の策で、活動の実態など二の次の外交判断にすぎない。そもそも海自が活動している時は、いつでも情報収集を伴う。この決定を例えれば「裏口派遣」(防衛省OB)で、確たる任務が欠落したまま、遥か遠い海域への派遣を余儀なく・・・