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米軍艦「台湾寄港」の現実味

中国はその時どう出るか

2020年2月号

 台湾で総統選挙の投開票が行われた直後の一月中旬、台湾海峡に隣接する最前線の中国人民解放軍福建省軍区の司令官が交代した。異例の人事だった。
 二〇一八年夏から同ポストに就いていた海軍出身の王濱少将がわずか一年半で更迭され、ロケット軍出身の呉喜鏵少将が就任した。メディアにほとんど取り上げられたことのない地味な王少将と異なり、呉少将は以前、総参謀部応急弁公室副主任を務めたことがあり、軍のスポークスマンとしてたびたび記者会見に参加した経験をもつ。以前、台湾を念頭に「国家の核心的利益を絶対に守り抜く」と発言したこともあり、代表的なタカ派軍人の一人として香港メディアなどに紹介されたこともある。
 中国の軍関係者は「ロケット軍出身者を前線司令官に抜擢することは異例だ。福建省沿海部に配置している大量の弾道ミサイルを活用するとのメッセージが込められている」と分析したうえで、「米軍の台湾接近をけん制する狙いがある」と指摘した。
 ロケット軍の前身は第二砲兵部隊。弾道ミサイル及び地上発射長距離巡航ミサイルを運用する独立軍種だ。呉氏はロケット軍への影響力、ミサイル運用の知識が前・・・