世界経済に「新型肺炎」の痛撃
中国景気失速と供給不安は長引く
2020年2月号
中国・武漢で昨年十二月に発生した新型肺炎は、二〇〇三年に中国発でアジア全域に蔓延した重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じコロナウイルスと断定され、患者数、感染地域も急拡大している。SARSは当時「世界の工場」と呼ばれた中国からの製品出荷に大打撃を与え、世界は供給リスクに揺さぶられた。中国の輸出が労働集約型製品主体だった当時と違い、今、中国をはじめアジアが担っているのはスマホ、パソコン、5G設備からディスプレイ、さらに半導体、電子部品など高度な先端製品。中国の工場が止まれば世界の生産ラインが止まり、店の棚から先端製品が消えかねない。新型肺炎は世界経済をも重篤に陥れる危険な病となりつつある。
サプライチェーンに大きな試練
台湾・新竹サイエンス・パーク。台湾積体電路製造(TSMC)、鴻海精密工業(ホンハイ)、広達電脳(クアンタ)、緯創(ウィストロン)など、台湾を代表する世界的な電子メーカーの本社・工場が立ち並ぶ世界最大級の電子産業集積地だ。一月二十一日、新竹は異常な緊張感に包まれた。前日、武漢市か・・・