「日本石油」に回帰するJXTG
傍流子会社を襲う「処分と粛清」
2020年1月号
日本石油の二十余年ぶりの復活―。事態はこのひと言に尽きるだろう。しかし、その高揚感は様変わりした現在の石油の事業環境からみれば奇異に映る。JXTGホールディングス(HD)のある幹部はこう吐き捨てた。
「脱石油を掲げていながら、ガソリン臭ぷんぷんの新社名だ」
同社は二〇二〇年六月、傘下の石油元売り最大手、JXTGエネルギーと一体経営へ乗り出し、社名もそれぞれ「ENEOSホールディングス」と「ENEOS」に改める。従来の①石油元売り(精製・販売)、②石油開発、③金属事業の中核三子会社を傘下とする純粋持ち株会社から近い将来、①を軸とした事業持ち株会社へ移行する計画だ=次頁の図参照。
この体制変更は、一九九九年の三菱石油との合併以来、新日鉱ホールディングス(日本鉱業)、東燃ゼネラル石油と相次ぎ経営統合してきた日石にとって、二十余年にわたった合従連衡の総仕上げにほかならない。社名に日石時代から続くブランド「エネオス」を冠したことが復活を象徴する。
もっとも、グループ総帥の杉森務、すなわち日石の販売部門出身のJXTGHD社長にすれば、これ・・・