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政治

《罪深きはこの官僚》鈴木康雄(総務省元事務次官)

古巣の危機招いた 「日本郵政のドン」

2020年1月号

 総務相・高市早苗の動きは機敏かつ明快だった。
「旧郵政省OBが郵政グループの取締役に就くのはよろしくない。天下りは厳正に対処したい」
 二〇一九年十二月二十日、総務事務次官(当時)の鈴木茂樹は、かんぽ生命保険の不正販売をめぐり日本郵政グループへの行政処分案を漏洩していたことが発覚、いつになく呵責ない高市に事実上解任された。しかし、高市の標的がむしろ、情報漏洩を促した次官OBの鈴木康雄だったことは間違いない。今や省内では茂樹は「白鈴木」、康雄は「黒鈴木」と揶揄されており、二十日の時点で日本郵政上級副社長の黒鈴木の辞任は不可避だった。同省幹部は振り返る。
「令和になって初の組閣で、高市大臣が二度目の総務相として登庁してきた時から胸騒ぎはあった」
 というのも、総務省は官房長官・菅義偉の金城湯池だが、一九年九月の内閣改造当時、「令和おじさん」として急速に存在感を高めていた菅を牽制する目的で、首相・安倍晋三が自身への忠誠心が厚い高市を再び総務相に送り込んだ、と見られていたからだ。高市の使命は、不正発覚後も経営責任を明確にしない日本郵政グループ、すなわち・・・