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米中が南米で 「リチウム争奪戦」

ボリビア左派政権「転覆」の深層

2020年1月号

 南米ボリビアのクーデターで、昨年十一月十一日にメキシコへの亡命を余儀なくされたエボ・モラレス前大統領は同月二十一日、ロシアの海外向け放送局RTのインタビュー番組に出演し、クーデターが「ボリビアのリチウムを外国に開放しようとする、右派のリーダーを就任させるのを狙った」と述べ、米国の関与を示唆した。
 インターネットでもクーデターを「ボリビアのリチウムを狙う米国の企み」とする説が飛び交っているが、それには理由がある。今後の需要増大が予測される電気自動車のバッテリーのみならず、携帯電話やパソコン等のハイテク機器の電池に不可欠なリチウムは一九九八年にトン当たり一千七百七十ドルだったものが、二〇一八年には二万五千ドル前後の値がついた。二十年間で十四倍の高騰だ。
 需要の伸びからも、リチウムを「二十一世紀の金」と呼ぶ声も聞かれたが、ボリビアは埋蔵量が世界一とされ、観光地として有名なウユニ塩湖とその周辺には、地球全体の半分近くが眠っているという推計もある。「ボリビアのリチウム」が注目され、かつクーデターと関連付けられがちなゆえんだ。
 〇六年一月に大統領に就任したモラ・・・