世界経済「大分断」の時代
対米依存「一辺倒」は破滅の道
2020年1月号
世界貿易機関(WTO)と世界銀行・国際通貨基金(IMF)を柱とする国際経済秩序の崩壊が鮮明になってきた。二〇一七年一月にトランプ氏が米大統領に就任した当初、「アメリカ・ファースト」と叫ぶ彼に対して「政治的なポーズ」「対中強硬姿勢はディール(取引)のため」など、懐疑的な見方が多かった。しかし、政権発足後このような楽観論は次々と打ち砕かれた。
決定的だったのは一八年八月に成立した国防権限法(NDAA)だ。製品やサービスを通じて軍事情報を盗み取られるのを防ぐため、華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)など中国企業五社の製品やその部品を組み込んだ他社の製品を政府調達から排除する内容だ。日本など同盟国に対しても五社の製品を、高速大容量の第五世代(5G)移動通信システムのインフラ構築に使わないように呼び掛けた。
これにより米中の「貿易戦争」は、安全保障を視野に入れた次世代技術をめぐる「覇権争い」であることが明確になり、米中二大国が肩を並べるという含意がある「G2」ではなく、冷戦のように敵対する「デカップリング(切り離し)」論が台頭してきた。
この状況につ・・・
決定的だったのは一八年八月に成立した国防権限法(NDAA)だ。製品やサービスを通じて軍事情報を盗み取られるのを防ぐため、華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)など中国企業五社の製品やその部品を組み込んだ他社の製品を政府調達から排除する内容だ。日本など同盟国に対しても五社の製品を、高速大容量の第五世代(5G)移動通信システムのインフラ構築に使わないように呼び掛けた。
これにより米中の「貿易戦争」は、安全保障を視野に入れた次世代技術をめぐる「覇権争い」であることが明確になり、米中二大国が肩を並べるという含意がある「G2」ではなく、冷戦のように敵対する「デカップリング(切り離し)」論が台頭してきた。
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