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社会・文化

企業とメディアの深まる「癒着」

貧するジャーナリズムが失う「矜持」

2019年12月号

 メディアと企業の距離感は時に難しい。受信料収入で運営されるNHKを除けば、メディアは多かれ少なかれ企業の「カネ」を受け取る。理想論を言えば、広告と報道は、各々独立すべきだろうが、それは綺麗ごとに過ぎないだろう。
 企業が取材対象となる場面でも、カネを生む「広告」と、時に企業を糾弾する「報道」の間に引くべき一線は確実に存在するはずなのだが、その境界はぼやけていく一方だ。

取材対象に呑み込まれる記者

 リンパ腫との闘病を続ける経団連の中西宏明会長の財界活動を支えているのが、日立製作所のブランド・コミュニケーション本部に所属する一人の広報マンだ。かつては読売新聞の敏腕記者として鳴らした人物だが、川村隆会長時代に、次期経団連会長人事をスクープしようと日立に食い込み、いつのまにか財界側の人間になった。
「引き抜かれるほど企業に気に入られるということは、経営者や広報担当役員などと良くも悪くも抜き差しならない関係を築いたということ。企業側に不都合な記事を書かないなど、記者のモラルが問われる局面もひとつ・・・