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政治

「終わりの終わり」を迎えた安倍政権

藤井 裕久 (元財務大臣)

2019年12月号

 ―安倍晋三内閣の現状は?

 藤井 率直に言えば、「終わりの始まり」ではなく、「終わりの終わり」だ。内閣で相次ぐスキャンダルの質が、あまりにもお粗末だ。末期的症状と言うしかない。戦後の歴代首相を見ると、吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘と、それぞれ立派なことをやった人でも、最後はおかしくなった。
 安倍さんは立派なことは何もやっていないのに、みじめな末期を迎えてしまった。首相はこれまで「国家主権」と主張してきたが、国民主権と平和主義を理解しているのだろうか。なぜ安倍政権がこんなに長く続いているのか、よく分からない。与党に人材はいないのかと思ってしまう。

 ―政治家の質が落ちましたか?

 藤井 小選挙区制を導入して以後、まっとうな人が政治家にならなくなった。政治家に背骨がない。親子代々、家業でやっているか、その時の空気でやっているかのどちらかだ。
 今の日本は、哲学者の山本七平がかつて、「空気で動く社会が一番怖い」と指摘した通りになっている。・・・