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連載

新・不養生のすすめ 第33話

医者と薬「依存」から抜け出せ

2019年12月号

「今度、子どものところに引っ越します。向こうでいいお医者さんがいたら紹介してもらえないか」
 外来でフォローしている八十代の女性から相談を受けた。
 彼女は十年前に大腸がんを手術し、完治した。術前の検査で高血圧・高脂血症と診断され、それ以来、筆者の外来にかかっている。
 手術後に体重が減った影響だろうか、高血圧・高脂血症とも、コントロールは良好だ。
 外来受診は欠かさないし、自宅での血圧測定を勧めると、朝晩に測定し、記録を持参してくれる。受診の度の血液検査では結果に一喜一憂し、食事や運動を指導するときちんと守ってくれる。医師にとっては「理想的な患者」だ。
 ところが、彼女が筆者の指導にどうしても従ってくれないことがある。それは薬を減らすことだ。何回か「一度、薬をやめてみましょうか」と提案したが、その度に、「友だちが脳梗塞で亡くなった」、「隣のお爺さんが心筋梗塞で入院した」と言い、「次回まで考えてきます」とお茶を濁される。筆者もまた「薬をやめるように無理に説得しても、他の病院に行って処方して貰うだけだ」と考えることにして、六種類の薬を出し・・・