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経済

メガ銀行で始まる 「預金者斬り捨て」

口座維持手数料「導入」の本音

2019年12月号

 銀行業界の黄昏ムードがいよいよ際立ってきた。二〇一九年度第2四半期(四~九月期)の大手銀行決算は、三メガバンクが揃って連続最終減益を余儀なくされた。今のところ、通期の業績予想は維持しているものの、日増しに尻すぼみ感が強まる収益状況をみる限り、年明けとともに下方修正の動きが現実味を帯びてくる。
「このままだと、来年度は格段に厳しくなるだろう」
 現に、あるメガバンクの幹部は暗い表情を隠しきれないでいる。国内部門は個人向けなどのリテール業務の不振が泥沼化し、「銀行単体ベースでは実質的に採算割れをきたしている」上に、近年、稼ぎ頭だった海外部門の頭打ちも歴然としてきてしまったからだ。しかも、それらの打開策が全く見いだせないのだという。
 そんな苦境ぶりに来年度以降は、さらなる難題が重なる。そのひとつは、長期国債の大量償還である。たとえば、メガバンクトップの三菱UFJフィナンシャル・グループの国債保有残高(今年九月末)は三月末から二兆五千百九十八億円減の十九兆三百二十四億円となったように、メガバンクは軒並み保有国債の圧縮に動いてきたのだが、これからはそれとは別の事・・・