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政治

「桜」騒動にみる安倍長期政権の虚しさ

《政界スキャン》

2019年12月号

 首相主催「桜を見る会」騒ぎの虚しさには、二重の意味がある。一つは、そんなくだらない難癖で国会を停滞させるな、だから野党は政権が取れないんだよ、という「上から」目線の憤まん。もう一つは、だったら次々に子供だましのウソでごまかさなければならないくだらないことは初めからやめろよ、という「下から」目線の怒り。前者は安倍政権を支持し、後者は支持しない人の典型的な反応だろう。両者の間で、ただあきれた人もいるだろう。政治的立場は異なるようでも、ばかばかしく情けない感情は皆一緒である。安倍政治に賛成だろうが反対だろうが、今の政治へのうんざりする気分は重なり合っている。
 仮に「桜」騒ぎが起きていなかったら、傾聴するに足る憲法改正論議が進んでいただろうか。日米貿易交渉の中身について火花散らす論戦が繰り広げられていたか。日韓対立・拉致問題解決へ画期的な策が話し合われたか。できないのは野党のせいというより、議論を避ける安倍晋三首相にハナからその気がなかったからだろう。
 ましてや「カニ・メロン大臣」「ウグイス嬢ヤミ手当大臣」「身の丈大臣」の不始末があったので、いずれにせよロクな国会にな・・・