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経済

絶望の三菱重工「旅客機事業」

生産現場に「量産不可能」の烙印

2019年12月号

 三菱重工業がグループ挙げて推進する三菱スペースジェット(旧MRJ)の先行きがいよいよ不透明になっている。米国の航空会社の百機の注文キャンセルが日本では大きく報道されたが、それ以上に深刻な問題が出ているからだ。量産体制の不備だ。今夏、日欧米の生産コンサルティング会社十数社に三菱重工からスペースジェット量産のためのシステム整備の協力要請があった。試験機の生産はできても、数十機レベルの量産体制すらできておらず、「泥縄の典型」と依頼を受けた側が唖然とする状況。課題の米国の型式証明(TC)は得られても、スペースジェット事業の離陸にはほど遠い。
 米ワシントン州レントンにあるボーイング社レントン工場。レントン市の所有する空港に隣接し、湖畔に広がる広大な工場では、主にベストセラー機の「737型」機が生産されている。現在は、昨年今年と続けて墜落事故を起こした「737MAX」の納入停止で稼働率は下がっているが、最盛期には月産三十機以上の737型機が組み立てられていた。
「737―800型」機で全長三九・五メートル、全幅三四・三メートルという機体を一日一機という効率で生産できるのは、・・・