十月上旬、臨時国会で衆院予算委員会を控えたタイミングで、永田町に早期の衆院解散説が駆け巡った。発端は安倍晋三首相に最も食い込むと言われるＮＨＫの岩田明子解説委員による安倍への取材メモが流出したとの情報だ。そこには、憲法改正手続きを進める国民投票法改正案が今国会で成立しなければ、改憲を大義に来年の通常国会冒頭に解散する―と書かれていたというのだ。
　冷静に考えれば、取材内容が事実だとしても重要なメモが外部に漏れるのは考えにくい。直前に岩田と親しいＮＨＫ政治部長がネット用記事で通常国会冒頭解散に言及したのに触発され、真偽不明の情報が出回った形だ。
　ただ軌を一にするように安倍に近い自民党幹部から「通常国会冒頭の可能性は十分ある」「十一月十四、十五日の大嘗祭直後もあり得る」との声も相次いだ。
　当の安倍自身も解散風を煽り続ける。「あいさつと解散は急に来る」。十月八日の自民、公明両党の参議院国対幹部との会食で言及。翌九日の両党の衆議院国対幹部との会食でも、自民党の森山裕国対委員長が「十一月に解散するという話が出回っている」と話を向けると、安倍も「そんな話がありま・・・