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反習近平「共青団」が巻き返し

国家主席「三期目」阻止の狼煙

2019年11月号

 中国の習近平国家主席がネパールを訪問中の十月中旬、「中国の分裂を図る者は、体を打ち砕かれ骨が粉々にされるだろう」と怒りを顕わにした。同月初めに発行した中国共産党の機関誌「求是」に掲載された習氏の論文にも、「党の内部にも刃物を向ける必要がある」「骨を削って毒を取り除かなければならない」と激しい言葉が並ぶ。さらには九月初め、習氏は中央党学校の幹部会議で「闘争」という言葉を五十八回も連呼した。
「最近の習氏は、すぐに不機嫌になり、やたらと荒い言葉を使いたがる。それだけ、切羽詰まっている状況にあるのだろう」と北京の共産党関係者が分析した。
 米中対決の本格化、収束が見えない香港デモ、国内経済の低迷など、懸案はいずれも深刻だが、有効な対策が取れないのが現状だ。これらに加えて、党内の反習勢力が動きを活発化させている。
 李克強首相をはじめとする共産党の下部組織、共産主義青年団出身者で構成する共青団派は、二〇二二年の党大会に照準を合わせ、習氏の続投阻止に向けて躍起になっている。共産党内の権力闘争が本格化しつつあり、習氏の一連の激しい言葉は、「党内の敵に向けたものだ」と・・・