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WORLD

世界「異常気象」は もっと悪化する

気候変動「災害増加説」が続々

2019年11月号

 台風十九号で日本各地が甚大な被害に見舞われたことは、「防災の先進国で、こんな惨事になるのか」と世界中で報じられた。
 地球温暖化で台風の威力が増していることは日本でも指摘されているが、大干ばつや極端な寒波にさえ、温暖化の影響があることが、世界中の科学者の研究で続々と裏付けられている。人類は大水害、大干ばつと極地並みの寒波を間断なく経験するようになった。

大寒波も温暖化が原因

 水害の多い日本では、「大雨・洪水は温暖化が原因」という見解が通りやすい。だが、科学の世界では、常に異論が出る。
 米国は昨年から今年にかけ、氷点下四十度もの大寒波に見舞われた。ドナルド・トランプ大統領はこの時、「いったい地球温暖化はどうなっているのかね。早く戻ってきてくれよ」とツイートし、温暖化の学説を思い切り皮肉った。米国では、産業界を筆頭に温暖化否定論が有力で、大統領はその旗振り役である。
 北米大陸を襲った寒波は、「極循環」の南下で起こった。
 極循環とは、北極と南極の上空にできる、大規模・・・