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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》大企業「優遇税制」

政財界の癒着が生んだ「税逃れ天国」

2019年10月号

「タックスヘイブンということが問題になりますが、日本自体が大企業にとってはタックスヘイブンになっているというのが現状かと思います」―。
 税理士で、立正大学法学部客員教授の浦野広明は、今年二月二十六日に開かれた衆議院予算委員会の公聴会で、このように公述した。例の「パナマ文書」でも注目されたタックスヘイブン(租税回避地)は、パナマ以外にもケイマン諸島や英国領ヴァージン諸島、リヒテンシュタイン、モナコ等世界で約三十カ所点在しているが、そこに日本が含まれるという認識は皆無に違いない。
 だが、その浦野は「自民党の議員もおとなしく聞いていましたよ。中には、『私も会社をやっていましたから、お話はわかります』と言う議員もいて」と公聴会を振り返りながら、次のように続ける。
「日本経済団体連合会をはじめとする財界は、口を開けば『日本の法人税は高い』と不満を口にしますが、明らかにウソです。大企業は手厚い優遇税制に守られていて、税負担を逃れられる仕組みになっている。だから彼らにとっては、日本はタックスヘイブンも同様なんですよ」

大企業ほど下がる税負担率・・・