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連載

新・不養生のすすめ 第31話

退職後の自立した生活を楽しむ
大西 睦子

2019年10月号

 九月の第一月曜日は、レイバー・デイという全米の祝日だ。多くの米国人は、週末から三連休を利用し家族や友達と旅行をしたり、野外でバーベキューをして夏の終わりを楽しむ。今年のレイバー・デイは、近所に住む友人家族が、マサチューセッツ州のマーサズ・ヴィニヤードという島の貸別荘で過ごすため、私と夫を招待してくれた。ヴィニヤードは、ボストンから南へ百五十キロほどの場所にあり、夏の避暑地として人気だ。ケネディ家、現役時代のクリントン大統領やオバマ大統領一家も夏休みを過ごしている。島の大きさは大阪市くらいだが、人口は約一万六千人で大阪市の〇・六%ほど。ただし、夏の間は観光客で賑わい十万人にも人口が増える。
 島に到着すると、贅沢な天気と美しい海岸や街並み、リラックスする人々に目を見張った。私は滞在中、一年ほど前に島に引っ越した友達のパトリシア(六十五歳)に会いに行った。パトリシアは五年前に保険会社を退職し、昨年夫が亡くなったあと、ボストン近郊の長年住んだ家を売り、ヴィニヤードの家を購入して一人暮らしを始めた。
 人口統計データによると、ヴィニヤードは、二十年前よりも少子高齢化が進み・・・