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政治

千葉大停電は安倍政権の「人災」

《政界スキャン》

2019年10月号

悪いのは、東京電力か、千葉県か、それとも安倍政権か。令和元年台風十五号により千葉県で発生した長期大規模停電は、一向に復旧が進まない被災地の苦境が連日テレビに映し出され、日本中に嘆息と不審が渦巻いた。
 昨年九月六日、北海道胆振東部地震で起きた国内初のブラックアウト(北海道エリア全域停電)は、二日間で九九%まで電気は戻った。その二日前、近畿地方に二十五年ぶりの「非常に強い」勢力で台風二十一号が上陸。関西国際空港が浸水で全面閉鎖されるなど被害は甚大で、大阪府・和歌山県・兵庫県など八府県で約二百二十四万戸が停電した。折れた電柱約一千三百本。「台風被害としては平成で最大」(関西電力)だったが、それでも五日後には九九%の世帯で電気がついた。
 今回の台風十五号も、関東地方上陸時に過去最強級の「非常に強い」勢力で、停電は千葉、神奈川県などで九十三万戸、折れた電柱は推定約二千本。だが、昨年の経験を踏まえれば「想定外」とまで言えたかどうか。
 東電の罪は、広報の勇み足である。台風が去った後、被害の全容を十分把握しないまま、ずいぶん楽観的な復旧見通しを発表してしまったが、現・・・