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社会・文化

北朝鮮へ送金続ける 「厚生年金」の怪

「生死不明」日本人妻らのために

2019年10月号

核・弾道ミサイルの挑発行為によって日本との断絶が続く北朝鮮に、日本の血税が「帰国者たちへの年金」として流れ込んでいる。一部には、北朝鮮側の年金受給者が死亡しているにもかかわらず、日本政府に確認手段がなく、年金が払い続けられている事態になっている。一方、年金を巡っては日本国内で事務処理ミスや不正受給が相次ぐ。この国民的課題に北朝鮮独特の事情が絡みつき、金正恩朝鮮労働党委員長との直談判を画策して右往左往する安倍政権を直撃している。
 日朝赤十字が一九五九~八四年に実施した北朝鮮への帰還事業で、在日朝鮮人ら計約九万三千人が新潟港から出航した。このうち在日朝鮮人の配偶者に同行して渡航した日本人は一千八百人を超える。
 日本では、保険料を一定期間納付すれば受給資格が与えられ、原則六十五歳になった段階で年金を受け取ることができる。その額は、加入期間やその間の平均収入に応じてはじき出される。在日朝鮮人やその家族も、日本在住時に所定の保険料を納付していれば、北朝鮮に永住帰国・移住したあとも「海外移住者」として年金受給が可能だ。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の元関係者によると、現在・・・