アフリカ最強「ハイテク企業」の快進撃
元人種差別企業「ナスパーズ」の転身
2019年10月号
南アフリカのケープタウンで、アパルトヘイト(人種隔離政策)を長年擁護していた新聞社が、二十一世紀に入ってインターネット事業で大成功し、「アフリカのソフトバンク」の異名をとっている。
「ナスパーズ(Naspers)」社の南アフリカでの時価総額は、小誌が二〇一五年二月号で紹介した時点では約五百九十七億ドルだったのが、いまや一千億ドル(約十兆七千億円)を突破し、アフリカ大陸最大の企業という地位を不動のものとした。
さらに今年九月、事業の一部を子会社化して「ユーロネクスト・アムステルダム」に上場したところ、こちらも時価総額が瞬時に一千億ドルを突破した。今やヨーロッパとアフリカ両大陸で「最大のハイテク企業」となり、孫正義社長の本家を凌いで、米国と中国以外では最強の存在に躍り出た。
社名が示す南アフリカの暗黒
この会社は「ナスパーズ」という社名に、消し難い過去が刻まれている。
アパルトヘイト体制の与党だった「国民党」と同じ意味の、「国民新聞社」(アフリカーンス語でDe N・・・