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中国は台湾でも「大失策」

総統選挙で香港に次ぐ挫折へ

2019年10月号

来年一月十一日に行われる台湾の総統選挙。投票日まで四カ月を切ったところで異変が起きた。現職総統の蔡英文氏の有力ライバルとみられていた無所属の郭台銘氏が不出馬を表明する一方で、陳水扁総統時代に副総統を八年間務めた与党、民進党系の呂秀蓮氏が立候補したのだ。
 郭氏が九月十六日深夜に声明を出し「台湾の経済のために頑張りたいという志があったが、恨みや対立をあおることになってしまった」と断念した理由を明らかにした。一方、翌十七日午前、台北市内で出馬会見に臨んだ呂氏は「香港の人々が自分たちの未来のため、あきらめずに戦い続ける姿に感動しています。香港のみなさんを応援したい」と語り、台湾と直接関係のない香港の反中デモについて言及した。
 総統選を取材する地元紙記者は、「これで今回の選挙の争点は、経済問題から対中姿勢に完全に移ってしまった」と分析する。郭氏が降りたことで、野党系候補が国民党公認の高雄市長、韓国瑜氏に一本化された。逆に与党系勢力が分裂し、蔡氏と呂氏の二人となった。
 台湾メディア「アップル新聞ネット」(蘋果日報)が九月十八日に行った世論調査では、蔡英文氏の支持・・・