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連載

日本の科学アラカルト 109

その最前線 「核のゴミ」のリスクを低減 放射性廃棄物処理の取り組み

2019年9月号

 八月に入り、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、岐阜県瑞浪市と北海道幌延町で行ってきた高レベル放射性廃棄物の地層処分研究について、実施期間を延長することを決定した。二〇〇〇年頃から「二十年間」を目安に、地下坑道での研究を続けてきたため、いずれも二一~二二年中に研究が終了する予定だったが、岐阜は六年、北海道は七年延長する方針を固めた。
 これら施設では、実際の放射性廃棄物を持ち込むことはせず、施設建設や耐久性などについての研究が行われている。それでも、核施設についての反対の声は地元にあるため、今後更なる反発を呼びかねない。
 原子力発電を好むと好まざるとにかかわらず、核のゴミの処分は日本人が当事者として考えなければならない問題だ。原発を推進するならばもちろんのこと、反対するのであっても、これまでに蓄積された放射性廃棄物から目を背けることはできない。むしろ原発嫌いであればあるほど、核のゴミのリスクをみつめるべきだろう。しかし今回の研究施設をみても分かるとおり、一番有力な地層処分についての研究さえ入り口段階にとどまっているのが現状だ。それでもなお、高レベル放射性廃棄物・・・