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政治

安倍官邸が企てる「天皇訪米」の下心

2019年9月号

 傍目にも横暴極まりない身勝手な上司に、笑みを絶やさず忍耐強く仕え抜く部下―。トランプ米大統領と安倍晋三首相の関係は、大人の社会ならどこでも目にするありふれた人間模様に違いない。それが「歴史上かつてない強固な信頼関係」に程遠いことなど誰だって知っている。身につまされる人が多すぎるので、つい理解してしまうのだ。「安倍は、よくやっている。彼以外の誰にあんな役が務まるか。彼をおいて他に任せられる者などいるはずがない」
 確かに、安倍氏の辛抱は察するに余りある。米国内でトランプ氏が支持者向けに「なまりのある英語」をからかうくらいは屁でもなかろう。こっそりノーベル平和賞候補に推薦していたことも、高価すぎる付け届けを送っていたとばらされたようなもので、シラッと笑って済ますだけだ。
 しかし、参院選後に貿易交渉で譲歩を約束させられているとか、日米安保条約の不公平さを「アベも分かっている」とかいう内幕を公言されると、これは安倍氏一人が我慢して済む話ではない。
 まして、訪日を渋るトランプ氏に、天皇陛下の国賓第一号に迎える意義を「スーパーボウルの百倍くらい大事」と説得してい・・・