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脱北「テロ組織幹部」が極秘来日中

「拉致」と「暗殺」で重要証言

2019年9月号

 北朝鮮が短距離ミサイル発射実験を繰り返して国際社会を揺さぶるなか、北朝鮮工作機関の元高官が日本外務省の要請で密かに訪日し、テロ組織の内幕について証言を始めている。韓国海軍哨戒艦「天安」号沈没事件や延坪島砲撃事件(いずれも二〇一〇年)、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏の暗殺事件(一七年)への関与が疑われる朝鮮人民軍偵察総局の創設メンバーで、ハイレベルの特殊工作員だ。
 その人物は李勇男氏。職位は明かされていないが、党階級で言えば「副部長級」とみられる。工作機関出身のため複数の名前を使い分けている。
 北朝鮮の金策工業大で工業技術を学び、人民経済大で貿易業務に精通した後、工作員養成機関である金正日政治軍事大に入った。数年間、国家機関に所属した後、韓国での地下組織や工作員を管理する党対外連絡部▽破壊工作や要人暗殺の実動部隊を束ねる党作戦部▽海外拉致・テロを計画・実行する対外情報調査部(通称35号室)―という三つの党精鋭の工作機関を渡り歩いた。
 李氏が作戦部に所属していた〇九年、当時の最高指導者、金正日総書記が三つの工作機関を統合するよう側近の呉克烈作・・・