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サウジとUAEの同盟に「亀裂」

綻び始めた「対イラン封じ込め」

2019年9月号

 五年も内戦が続くイエメンで八月上旬、第二の都市アデンの中心部で激しい銃声が響いた。同国のハディ暫定大統領の「大統領宮殿」などが武装勢力に襲われ、サウジアラビアが支援する暫定大統領派は八月十日、「敗北」を認めた。
 陰惨なイエメン内戦の中でも、この戦闘は特別な意味がある。
 暫定大統領派を攻撃したのは、アラブ首長国連邦(UAE)が支援する「南部暫定評議会」だったからだ。軍事同盟を組んでイエメン内戦に介入したサウジとUAEが、数日間ながら死者四十人以上を出す代理戦争に引き込まれた。両国の同盟に大きな亀裂が入った。
 いかに深刻な事態だったかは、UAEの実効支配者であるアブダビ首長国のムハンマド皇太子が八月十一日、急きょサウジを訪問したことでもうかがえる。首都リヤドで、サルマン国王、ムハンマド皇太子と会談し、「戦闘の即時停止・和平」で合意した。
 サウジのムハンマド皇太子はその剛腕ぶりから「MBS(ムハンマド・ビン・サルマン)」の略称で知られる。中東の暴れん坊だ。八月三十一日に三十四歳になったばかりだが、米国のドナルド・トランプ大統領やロシアのウラジ・・・