JXTG傘下の金属子会社が本社移転 「事業売却」の観測広がる
2019年7月号公開
JXTGホールディングス(HD)の金属事業子会社「JX金属」が来年六月、JXビル(東京・大手町)から本社を移転することが決まり、グループで「金属事業を売却する布石」との見方が広がっている。旧日本石油と旧日本鉱業の経営統合の時から、旧日鉱を継承したJX金属は「石油事業と相乗効果がない」と忌避されてきた。
くしくも六月、JXTGHDは旧日鉱出身の内田幸雄会長が退任し、旧日石販売畑の領袖だった杉森務社長が経営のフリーハンドを握ったばかり。HD傘下の石油元売り、石油開発、金属の中核三子会社の中でも、JX金属は他の二社と給与、労組、文書書式が異なる。さらに人事交流もなく、旧日石幹部と反目が続いていた。
今回の本社移転で杉森氏ら旧日石幹部は将来、JXTGエネルギーをHDに吸収して事業持ち株会社となり「日本石油」を再興する構想を描いているとされる。グループ内では「ジリ貧の石油一本足となったところで、未来は明るいのか」と不安の声が出ている。 (2019.8.26公開)