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経済

《企業研究》日本生命

顧客泣かせの「悪事」で独り大儲け

2019年8月号

 ルールを逆手に取り、バレなきゃ何だってやる……。生命保険業界にこびり付いているとされる因習と宿痾は、トップ企業の体質そのものでもあるといえようか。
 日本生命保険が「東京2020オリンピック観戦ツアー」と銘打ち、自社商品を多く売ってくれる有力代理店に対し、一年後に開催が迫った東京五輪のチケット配布を検討していることが表沙汰となって業界他社の「やり過ぎ」批判に晒されている。
 日生は東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー。優先的にチケットが手に入る。それを利用した販売奨励策だが、同社が代理店側に示したプランの中には「開会式や男子陸上百メートル決勝などの人気チケットの供与も含まれていた」(事情通)という。開会式は最高額が一枚三十万円、百メートル決勝は同十三万円。「一部自己負担が生じるものもある」(日生関係者)とはいえ、どうみても行き過ぎだろう。

過去を顧みず「問題商品」を販売

 業界では保険会社が代理店へ支払う過剰なインセンティブにより、代理店が顧客・・・