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経済

パソナが喰い物にした「企業保育」

不正横行で霧消した「巨額公金」

2019年8月号


 天網恢恢疎にして漏らさず―。ずさんな制度設計によって不正の温床となってきた「企業主導型保育事業」に、ようやく司法のメスが入った。これを一罰百戒で終わらせるのではなく、事業そのものの抜本的見直しに着手するのはもちろん、立ち上げから深く関与した人材サービス会社パソナの責任も問わなくてはならない。二〇一六年の制度開始以降、今年度までに投入された公金は五千億円を超えており、そのうちどれだけがドブに捨てられたのか全貌を明らかにすべきなのだ。
 七月二十三日、東京地検特捜部は企業主導型保育事業に関係して、金融機関から不正に融資を引き出し逮捕された川崎大資容疑者を起訴した。勾留期限ギリギリのこの日の起訴は序章に過ぎず、特捜部は本丸である助成金詐取の方を重要視しており、実際に即日、同容疑で再逮捕している。同容疑者の背後には自民党議員に連なる怪しげな人脈も確認されており、特捜部がどこまで踏み込めるかに注目が集まる。
「この事件は氷山の一角。細かな不正も含めたらキリがない」
 ある保育園事業者はこう批判する。本誌が企業主導型保育の問題について初めて取り上げたのは・・・