日米同盟は永遠ならず
安全保障「米国依存」が通用しない時代
2019年8月号
トランプ大統領が、日米安全保障条約が米国にとって著しく片務的になっていると繰り返しても、日本政府は全く動じない。立派な態度と評価すべきなのだろうか。それどころか菅義偉官房長官は「米政府からそういう話は聞いていない」と至って素っ気ない。
七月二十一日に行われた参議院議員選挙でこのテーマが争われた気配はない。ペルシャ湾ホルムズ海峡の緊張感の高まりから、米軍制服のトップであるダンフォード統合参謀本部議長が、イランやイエメン沖での海上交通の安全と自由を守るため、多国間で有志連合を計画していると呼び掛けても、日本国内でどれだけ真剣な議論が戦わされているか。
問題点を列記して、「いずれも実施のハードルは高い」などと第三者のような論評がジャーナリズムにあふれている。自国のタンカーが攻撃されたとき、自ら自衛に立ち上がる自覚はまるきりない。
少なからぬ日本人には、自らが主体となって国を守ろうなどというのは、右翼の過激な思考にすぎないとの軽い気持ちがあるのではないか。米国が世界戦略の一環からどうしても日本に基地を必要としており、基地を提供してやっている日本・・・