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経済

トヨタ「販売店網」崩壊の始まり

章男「肝入り改革」にディーラーの怒り

2019年8月号

「舌の根も乾かないうちに方針転換され、戸惑いを通り越して不信感しかない」
 中部地方のトヨペット店経営者はこう語る。昨年十一月、トヨタ自動車は東京都内の販売店四系列について今春から統合することを発表した。当時、トヨタ側は他の道府県についてはトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツトヨタ店という四チャネルでの販売車種統一について「急がない」と明言し、その時期を「二〇二五年まで」としていた。しかし六月下旬になって、来年春にも店舗の垣根を取り払って全車種取り扱いをスタートさせることを発表した。文字通り「販売改革」が着実に進んでいるが、水面下では地場ディーラーの反発が広がり、トヨタの誇ってきた強力な販売店網はじわりと蝕まれている。
 改革を主導しているのが、国内販売事業本部本部長を務める佐藤康彦執行役員だ。
「佐藤氏は慶應出身で豊田章男社長のお気に入り。豊田社長と小林耕士副社長の意向を受けて一連の『販売改革』の先頭に立っている」
 経済誌の自動車担当記者はこう解説する。実質的にはトップ2の言いなりで、販売店に改革を押し付けている格好。そうした事情も各デ・・・