中国の今年第２・四半期（四～六月）の成長率は第１・四半期を〇・二ポイント下回る六・二％に減速、「景気底抜け」の不安が広がっている。鉄道、道路などインフラ投資は昨年秋以降、異例の規模に拡大、前倒しで執行されているものの「波及効果は出ていない」（政府系シンクタンク関係者）。金融緩和も限界まで進められ、新規貸出は急増したが、企業の投資も個人消費も湿ったままで「流動性の罠」が歴然とし始めた。習近平政権内部の議論は「成長率の六％割れは不可避、五％が死守すべきライン」に傾いている。
「今年後半には政府の景気対策が効果を出し始め、成長率は反転上昇する」。日本の大手金融機関のシンクタンクや調査部の中国経済の認識はこうした分析でほぼ共通している。「中国の政府系メディアでもここまで楽観的には書けない」と中国のエコノミストは苦笑いする。最近では「日本の権威ある機関の分析」と称して、日本発の楽観論を国内に積極的に紹介するよう新聞、雑誌に指示が出ているという。
　すでに米欧メディアが度々指摘しているように、今、中国で進められている政府の刺激策は、リーマンショックに対応して二〇〇八年十一月に・・・