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イラン国民が溺れる 「仮想通貨」と麻薬

対米「徹底抗戦」の裏側の現実

2019年8月号

 米国のドナルド・トランプ大統領とイラン指導部の抗争が、迷走の度を深めている。双方とも「交渉」を目標にしているのに、意地の張り合いで身動きがとれず、周辺国への被害は増すばかりだ。
 経済困窮が続くイランでは、仮想通貨「ビットコイン」ブームが過熱し、現実逃避のための麻薬消費が増加するなど、経済・社会のゆがみも目立ってきた。

モスクでビットコイン集め

 英国在住のイラン系研究者が今夏、ブログで衝撃の報告をした。「イランのビットコインのマイニング(採掘)事業者が、イスラム教礼拝所(モスク)に拠点を移している」というものだ。
 この研究者は具体例を挙げなかったが、イラン政府は敏感に反応した。イラン中央銀行の担当幹部が国内メディアに対して、「仮想通貨の取引は違法だ。政府によって、禁止されている」との見解を発表した。また、政府は電力使用に制限を設ける方針を示唆した。「モスク拠点」の情報はその後、ぱったりと途絶えた。
 イラン政府は昨年、米国による経済制裁の対抗措置として、「仮想通貨を国の通貨・・・